2025年11月18日(火)に会場+オンラインのハイブリッドで開催された「九州企業立地セミナー&交流会 in 福岡 ~政策と市場が交わる、九州GX産業立地の最前線~」。今回はそのレポートをお届けします。本セミナーでは、行政・学術・金融・不動産の各分野のステークホルダーにより、地方の産業動向や地方企業を後押しする国の政策の現状が解説され、さらにGHG開示義務とGX産業立地に対して企業がどのように向き合うべきか議論するトークセッションが行われました。
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目次
「未来を見据えてともに挑戦する」
登壇者
佐賀県知事 山口 祥義氏

佐賀県の強みはまず立地の良さである。アジアが開かれてきているなかで東京よりも上海が近いという立地。また、県東部は高速道路と鉄道のクロスポイント。さらには自然災害についても、地震の発生回数が少なく、南海トラフの津波想定もゼロなどBCP対策の最適地。
近年、各分野の世界的企業が佐賀に進出しており、生産の拠点化を進めていただいている。佐賀県は工業高校の割合が日本一であり、人材の面でも皆様のお役に立てる。また、子育てし大県“さが”ということで、男性従業員の育児休業の奨励金を設けたり、企業やCSOの誘致も盛ん。
大学との連携の中で再生可能エネルギーに関する様々な研究開発を行っており、環境問題への取り組みとして波戸岬に海洋プラスチックについて学び、体験し、交流する施設「世界海洋プラスチックプランニングセンター(愛称:PLA PLA(プラプラ)」を来年の6月にオープンする予定だ。
佐賀県庁では全ての政策の基軸に「さがデザイン」という視点を通し、クリエイターと協働しながらコンセプトを議論し事業を決めているのが特徴。県民の満足度や付加価値の高い事業を今後も継続して行っていく。
「鳥栖市の産業動向とサザン鳥栖クロスパークの紹介」
登壇者
鳥栖市長 向門 慶人氏

鳥栖市は鉄道や高速道路が交差する九州陸路交通の要衝だ。九州各地へのアクセスが便利なのはもちろん、貨物専用の鳥栖貨物ターミナル駅、福岡空港や佐賀空港、博多港にも近いため、全国各地やアジア方面への輸送、輸出入面でも優位性がある。交通の要衝という強みを活かし、昭和29年の市制施行以来、積極的に企業誘致に取り組んできた。市内には七つの産業団地を有しており、現在全て完売。新たな産業団地として佐賀県と連携しサザン鳥栖クロスパーク開発事業を進めている。経済産業省の地域未来投資促進法を活用し、官民連携型のスピード感を持った開発を行い、若年層の雇用や市の人口増加につながる経済波及効果の高い企業を誘致したいと考えている。令和12年度の立地企業の操業開始を目指す。
特別講演「国内産業立地の最新動向とGX成長戦略」
登壇者
経済産業政策局 地方創生担当政策統括調整官 宮本 岩男氏

物価高が叫ばれる中、賃上げできる環境を作っていくことが重要だが、賃上げには原資が必要だ。将来の収入を生み出し競争力を上げていくような成長投資をして、その結果収益が上がり賃金も上がるというサイクルをしっかり回さなければいけない。世界的な情勢を見るとトランプ政権による関税障壁、さらにロシア=ウクライナ戦争のようなリスクが増大しており、重要な産業は国内に保有しなくてはいけないという考えも出てきた。経団連では国内投資規模を2040年までに年間200兆円まで上げていこうという動きがある。
石破政権下で行われてきた地方創生を、高市政権下では地域未来戦略として引き継いでいく。例えば熊本県のTSMC、北海道のラピダスのような誘致事例を全国各地につくり、投資を誘発し経済効果を生み出すということが言及された。また、地域で経済的に大きな存在感を示している中堅企業を支援し、大胆な投資促進策とインフラ整備を一体的に講じるというキーワードも示されている。データを見ると中堅企業は設備投資や売上高の増加に関する伸び率が大企業よりも大きい傾向がある。地域の雇用、地域の経済を支えるという意味で、存在意義がある中堅企業を支援する施策を打つため、国では予算を確保していく方針。
産業用地を支援できるような仕組みを作っていこうという調整も関係省庁と始めている。世界的にグリーン電源へのニーズが高まっているので、その領域に進出したいという企業も増えており、政府としても温暖化対策を推進する観点から支援上乗せの取り組みを開始した。
トークセッション「GHG開示義務とGX産業立地戦略」

登壇者
| 福岡銀行 ソリューション営業部 サステナビリティ推進グループ 部長代理 神園 龍一 氏 九州大学 都市研究センター 准教授 キーリー アレクサンダー 竜太 氏 シービーアールイー株式会社 アドバイザリーサービス|リーシング 執行役員 マネージングディレクター 田口 淳一 氏 東急不動産株式会社 インフラ・インダストリー事業ユニット 環境エネルギー事業本部 環境エネルギー事業第一部 統括部長 畠山 洋平氏 |
トークセッションではまず神園氏よりグローバル市場で環境面に関するリスクが非常に重視されるようになった傾向が解説され、脱炭素社会の実現に向け金融機関が行政、企業のハブとなり、三位一体で推進していくという方向性が示された。企業に対してはサステナブルスケールインデックスというツールを用い、ESGに関する対話を標準化して進めていく。

次にキーリー氏より、サプライチェーン全体のGHGはもとより、人権面、環境面等を含めた情報開示義務、デューデリジェンスが求められているという世界的な大きな潮流についての解説がされた。AIツールにより従来推計が難しかった人権リスク、環境リスク、生物多様性リスク等が解析できるようになったのも追い風だ。また、TCFDの開示のガイドラインに沿った開示をしている企業は、他の企業よりも株主資本コストが大幅に下がっているというデータも示された。

これらの前提を元に、地元の企業の中でGHGがどの程度話題になっているか、広大なサプライチェーン全体のCO2排出量をどうモニタリングしていくか、企業がGHGに取り組みを開始すべき時期、グローバル規制に適合した産業団地をどう創っていくか、産業団地に中堅企業が入るメリット等に関して活発な議論がなされた。
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