工業団地とは、工場や倉庫などの工業施設を集積するために、国や自治体、民間が計画的に区画を整理したエリアのことです。工業に特化した用地が取得できるだけでなく、電力や道路などのインフラがあらかじめ整備され、補助金や税制優遇などの活用も期待できます。近年では、企業のDX※1 やGX※2 を加速させるものとしても注目を集めています。
※1 DX(デジタルトランスフォーメーション):デジタル技術を活用した業務・事業の変革
※2 GX(グリーントランスフォーメーション):脱炭素社会実現に向けた産業・経済の構造変革
今回は、工業団地の概要やメリット、デメリットをわかりやすく解説します。
工業団地とは?

工業団地とは、工場や倉庫などの工業施設を設置する目的で土地を区画整理し、電力や道路、通信、給排水設備などのインフラが整備された工業用地です。国や自治体、民間などが計画的に土地を取得し、工業施設が建設・操業しやすいように整備が進められています。
工業団地にさまざまな工場や倉庫、研究施設、事務所、福利厚生施設などが集約されることにより、工業生産の効率化や地域振興への貢献、新たな雇用の確保、イノベーションの促進などの効果も期待できます。補助金や税制優遇などを活用できる場合もあり、新たな工業用地の確保や工場の建設を検討している企業にとって、工業団地は非常に魅力的な選択肢の1つと言えるでしょう。
近年では、国や自治体との官民連携や、大学などの教育機関との産学連携、他企業とコラボレーションなどが、企業の競争優位性の確保に有効な取り組みとなっています。また、工業団地に整備されたインフラを活用することでDXやGXが期待でき、企業の長期的な成長や事業の持続可能性の向上、顧客や取引先からの評価アップなどに繋がる可能性もあります。
ただし、工業団地にはメリットだけでなく、デメリットや注意点も存在します。そのため、自社の戦略や環境、予算、事業規模などを考慮した上で、より最適な工業団地への進出を検討することが大切です。
工業団地の5つのメリット

工業団地の主なメリットは以下の5つです。
- 用地の取得や建設の手続きが進めやすい
- インフラ整備などの初期投資を抑えられる
- 国や自治体の優遇制度を利用できる
- 企業集積によるシナジー効果が期待できる
- DXやGXが加速する
それぞれを解説します。
①用地の取得や工場の建設が進めやすい
1つ目の工業団地のメリットは、用地の取得や工場の建設が進めやすいことです。
工業団地は、工業用の用地として計画的に整備され、企業向けに分譲や賃貸が行われます。そのため、用地取得がスムーズに行え、工場建設に関わる制約も少ないというメリットがあります。
個別に土地を探して工場を建設する場合に比べると、用地取得から工場建設までがスピーディに行えるため、工場進出にかかる時間や手間を大幅に削減できます。また、工業団地は地域住民の生活エリアとは用途地域が異なるため、騒音などのクレームを受けにくく、地域との共存共栄がしやすいというメリットも大きいです。
②インフラ整備などの初期投資を抑えられる

2つ目の工業団地のメリットは、インフラ整備などの初期投資を抑えられることです。
工業団地が造成される際には、電力や上下水道、高速通信環境、周辺道路網などの工場操業に必要なインフラがあらかじめ整備されます。企業は単独にインフラ整備を行う必要がないため、工場建設に関わる初期投資を大幅に抑えることが可能です。
工業団地によっては、空港や港、高速道路、鉄道などの交通インフラが利用しやすい場合があります。交通インフラが整備されていると、モノや人の流れがスムーズになり、効率的で活発な生産活動が可能となります。
また、地域住民の生活エリアから通勤しやすい立地である場合も多いです。電車やバス、自家用車での通勤がしやすい場合、人材の確保や雇用の安定も期待できます。
③国や自治体の優遇制度を利用できる
3つ目の工業団地のメリットは、国や自治体の優遇制度を利用できることです。
工業団地では、国や自治体の補助金や税制優遇制度などが利用できる場合が多いです。工場の建設費用や設備の導入費用の一部が補助されたり、雇用促進のための助成金などが受けられたりします。さらに、地元の金融機関から低利率の貸し付けが受けられる場合もあります。
また、不動産取得税や固定資産税、都市計画税、法人事業税などの減免が受けられる場合もあります。税制優遇制度を活用することで、工場進出にまつわる投資回収効率が向上したり、設備投資や人材採用などの費用が捻出しやすくなったりします。
企業が個別に土地を取得し、工場を建設した場合には、こうした優遇制度が十分に活用できない可能性があります。補助金や税制優遇制度を活用したい場合は、工業団地への進出を検討すると良いでしょう。
④企業集積によるシナジー効果が期待できる

4つ目の工業団地のメリットは、企業集積によるシナジー効果が期待できることです。
工業団地では、1つのエリアにさまざまな企業が集積し、組合などを通じて企業同士の交流が図られることも多いです。他の企業との情報交換会や勉強会などによって、業務提携や共同研究、サプライチェーンの効率化などの新たなビジネスチャンスが拡がる可能性があります。
このような企業の集積による経済的効果のことを「集積の経済※3 」と呼びます。企業が集積することで地元の大学や行政などとのネットワークが強化され、「産業クラスター※4 」が形成される場合もあります。工業団地は産業クラスターによる集積の経済が期待できるエリアとも言えるでしょう。
※3 集積の経済:企業が特定の地域に集中することで生産性の向上やイノベーションの加速などのメリットが生まれること
※4 産業クラスター:さまざまな企業や教育機関、行政などが連携し、シナジー効果による産業の発展を目指す集団
工業団地内で他の企業とのシナジー効果が得られれば、自社だけで取り組むよりも大幅にコストを下げることや、取引先を広く拡大することなどが期待できます。例えば、工業団地内の他の企業とともに仕入れ先や配送業者を共通化できれば、原材料の調達コストの削減が期待できるでしょう。また、自社だけでは開発が難しい製品を他社と共同で開発できれば、新しい市場を開拓するチャンスが広がるかもしれません。
顧客ニーズの多様化やグローバル化が進む現代を生き残るためには、他の企業とのコラボレーションも積極的に進め、シナジー効果による競争優位性の確立を目指すことが大切です。
⑤DXやGXが加速する
5つ目の工業団地のメリットは、DXやGXが加速することです。
工業団地では、AIやIoT、ロボットなどを活用したスマートファクトリーの実現に必要な高速通信網が整備されたり、新たな自動化技術の導入が実証されたりするケースも多いです。また、エネルギー効率の高い生産ラインや配送システム、再生可能エネルギーの活用など、脱炭素経営に必要なインフラが整っている場合もあります。
このような先進的な事業環境は、企業のDXやGXを加速させます。その結果、イノベーションに関心を示す顧客や取引先からの評価が高まったり、SDGsやESG投資を重視する金融機関や投資家からの資金調達がしやすくなったりすることが期待できます。
日本は2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、さまざまな脱炭素化を進めている最中です。そのため、DXやGXが加速できる工業団地に進出することは、企業の長期的な成長と競争優位性の確立が期待できる取り組みとなることでしょう。
参考:経済産業省『2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略』
工業団地のデメリットや注意点

工業団地は、工場建設用に土地が造成され、インフラが整備されています。そのため、企業が独自に工場用地を取得するよりも費用が割高になる可能性があります。また、あらかじめ区画が整備されていますので、希望する広さや条件に見合わない場合もあります。
工業団地によって、建物用途や高さ、景観、緑地率、操業時間、利用目的に制限がある可能性もあります。また、敷地の分割や転売、賃貸に制限がある場合もあります。事前に工業団地の組合規則などを確認し、自社の希望する条件や事業内容にマッチしているかを確認しましょう。
なお、立地条件や設定価格によっては、長年区画が埋まらない工業団地もあります。この場合、インフラが老朽化していたり、交通アクセスが不便だったりする可能性があります。企業集積によるメリットを享受できない可能性もあるため、工業団地を選定する際には立地条件がよく、先進的なDX基盤が整備されていることが大切です。
まとめ 工業団地のメリット・デメリットについて

今回は、工業団地の概要やメリット・デメリットについて解説しました。
工業団地は、工場や倉庫などの工業施設を集積するために、国や自治体、民間が計画的に区画を整理したエリアのことです。電力や道路、通信網などのインフラが整備されており、スムーズな用地取得と工場建設が行えます。
また、補助金の利用や税制の優遇などが期待できる場合もあり、初期費用やランニングコストを抑えた形で、新たな生産拠点を設けることが可能です。さまざまな企業の集約と先進的な事業環境によって、DXやGXの加速も期待できることでしょう。
GREEN CROSS PARKについて

東急不動産が展開する産業まちづくりプロジェクト「GREEN CROSS PARK(グリーンクロスパーク)」は、工業団地の持つ集積の利益を最大化する次世代型産業団地です。
従来の工業団地が提供してきたインフラ整備や立地の利便性に加え、まち全体に先進的なDX基盤とGX対応の環境整備を構想しています。高速通信や自動運転技術の先行整備といった将来構想により、企業間の連携強化や業務効率化を実現するとともに、再生可能エネルギーの活用やカーボンニュートラルに向けた取り組みを通じて、持続可能な産業活動を支援します。
工業団地のメリットである「コスト削減」「インフラ整備の負担軽減」「補助金・税制優遇の活用」などを享受しながら、DX・GX時代に対応した競争力の高い事業展開をここに集う産業に可能にします。