ISO27001とは何か。認証を取得するメリットや取得手順、費用、注意点を解説。

ISO27001とは

ISO27001ISO/IEC 27001)とは、組織の情報セキュリティを体系的に管理するための国際規格です。 顧客情報や機密データなどの情報資産を適切に保護する仕組み(ISMS:情報セキュリティマネジメントシステム)が整備されていることを第三者が認証する規格で、企業の信頼性を証明する重要な指標となっています。

企業の情報資産管理のニーズが増すなか、ISO27001を取得することは、適切な情報管理の実施を対外的に示し、企業価値を高めることを可能にします。本記事では、ISO27001の概要と求められるようになった背景、取得メリット・手順・費用・注意点などを解説します。

ISO27001とは

ISO27001とは

組織が保有するデータやノウハウなどの「情報資産」を安全に管理するためには、仕組みとしてのマネジメントシステムが必要です。この仕組みはISMS(Information Security Management System) と呼ばれ、さまざまな業種の組織で運用されています。
ISO27001(正式表記:ISO/IEC 27001)このISMSをどのように構築・運用すべきかについて定めた国際規格です。言い換えれば、ISO27001 は「企業の情報をどのように守るか」をルール化したものと捉えれば良いでしょう。
2025年12月現在の最新版は「ISO/IEC 27001:2022(2022年10月発行)」で、日本国内では日本語版「JIS Q 27001:2023(2023年9月発行)」として対応規格が制定され、ISMSを導入している国内組織は これに基づいた評価を受けます。

ISO27001に基づいたISMSの運用が必要とされる背景として、国際的なデジタル化の進展や、クラウドやリモートワークの普及に伴い情報資産を狙ったサイバー攻撃や情報漏えいのリスクが増大していることが挙げられます。このような状況下で、対症療法的な情報セキュリティ対策ではなく、組織として継続的・総合的に管理する必要性が高まっているのです。

ISO27001は業種・業態を問わず、情報を扱うすべての組織が対象です。セキュリティ管理体制を見直そう、これから新たに構築しようという組織は、まずISO27001の枠組みに沿って実施しましょう。

ISMSについては下記もご参照ください。
ISMSとは?7つのセキュリティ要素と認証取得のメリット、Pマークとの違いも解説

ISO27001が求められる理由

ISO27001が求められる理由

ISO27001が求められる主な背景には、セキュリティインシデントの増加やそれによる取引先のセキュリティ体制チェックのニーズ、さらに海外では取得が必須となっている場合があります。それぞれ詳しく説明します。

個人情報の情報漏えい等事案の報告が急増

日本国内において、企業が保有する個人情報の情報漏えい等事案の報告が急増しているという背景があります。個人情報保護委員会(PPC)※1 によると、2024年度は、民間事業者の漏えい等事案が19,056 件、行政機関等も含めると2万件超(21,007件) に上ったということです。また、委託先での情報漏えいや不正アクセス被害も事例として多数報告されており、自社だけでなく サプライチェーン全体を視野に入れた管理体制の必要性が高まっています。

※1 個人情報保護委員会(PPC:Personal Information Protection Commission):個人情報保護法を所管する内閣府の外局。個人情報の適正な取扱いを監督する独立機関。

具体的な情報漏えい等事案の類型として

①VPN(Virtual Private Network)機器の脆弱性やECサイトを構築するためのアプリケーション等の脆弱性が公開され、対応方法がリリースされていたにもかかわらず、事業者が放置していた

②ID・パスワードが容易に推測されやすいものとされていた

③設定ミスによりデータベースへのアクセス制御が不適切な状態になっていた

といった安全管理措置の不備がトラブルを招いていることがわかります。

出典:個人情報保護委員会『令和6年度個人情報保護委員会 年次報告』

これらのようなセキュリティのリスクが大きい状況を防ぐために、組織全体として「誰が・どのように」「いつ」「どこで」情報を扱うかを管理する仕組みであるガバナンスの重要性が高まっています。従来の個別の「セキュリティ対策」から、組織のセキュリティガバナンスとして標準化が求められており、ISO27001のような包括的な管理体系が活用されるようになったという流れです。

取引先がISMSへの適合を求めるようになった

近年、取引先や委託先のセキュリティ体制をチェックするニーズが強まっています。ISO認証コンサルティング事業を行うNSSスマートコンサルティング社による調査では、50.5%の企業が「新規取引の際にセキュリティチェックシートの提出を求められたことがある」という回答をしています。さらに、65.2%が「ISO27001などの認証がないことで実際に契約に至らなかったことがある」と回答しています。

このように、企業が取引をする際にISMSの適合が必須となりつつあり、適合していることを示すためにISO27001の取得は必須となりつつあります。

出典:NSSスマートコンサルティング株式会社『【自社の情報セキュリティ管理】3割が万全でないと思うと回答!理由は『データ管理のルールが定まっていない』『社外に持ち出せる状態』が多数』

GDPRへの対応

GDPR(欧州一般データ保護規則)とは、2018年に施行された、EU(欧州連合)およびEEA(欧州経済領域)内に居住する個人の、個人情報保護を強化するための規則です。

EU各国で異なっていた個人情報保護の規則が統一され、企業には説明責任の徹底・安全管理措置の実施などの厳格化が行われました。この規則はEU内の企業だけでなく、EU居住者にサービスを提供する日本企業にも適応されるため、GDPRへの対応が必須です。GDPRへ対応するにあたっては国際規格であるISO27001に沿ったISMSの実施が有効な手段の一つとされています。

ISO27001の取得メリット

ISO27001の取得メリット

ISO27001を取得することで、単にセキュリティが向上するだけでなく、外部からの信頼性が増します。どのようなメリットがあるのか詳しく説明します。

取引先・顧客の信頼向上

ISO27001の適合・認証を受けていることで、情報を適切に管理・保護する仕組みを整えており、機密情報や個人情報を預けても問題がなく、安心して取引できる組織であることの客観的な証明となります。結果として、新規取引先の開拓が円滑になり、既存顧客との信頼関係も強化されます。

入札・商談での優位性

ISO27001認証を取得していることは官公庁関連や公共事業、大手企業の入札参加条件となっていることが多いです。

参考:一般財団法人日本科学技術連盟ISO審査登録センター『ISO/IEC 27001』

認証取得企業自身が「官公庁・自治体等からの信頼性を高めるために ISO27001を取得した」というプレスリリースを出す事例もあり、ISO27001の取得が入札・契約獲得に直結することを認識している企業が多いこともわかります。また、入札でなくても、政府や公共団体との取引、あるいはセキュリティを重視する企業との商談では、有利な条件を得やすくなります。

参考:近畿日本ツーリスト株式会社『公務BPO業務における「ISO/IEC 27001」認証を取得』

社内ルールの整備・属人化解消

ISO27001を取得することで、情報セキュリティに関して企業として取り組むべき対策がまとめられ、組織としての管理体制、人的資源の管理体制、物理・環境面での管理体制、技術面での管理体制が明文化されます。これにより、これまで属人的だった「誰が・どう扱うか」のあいまいな情報管理が仕組み化され、安定した再現性のある情報管理が可能となります。

内部不正・情報漏洩のリスク削減、業務効率化

ISO27001は、情報資産のリスクアセスメント→管理策の導入→継続的な運用・改善といった組織的な管理を前提とする仕組みです。これにより、不正アクセスや情報漏洩、誤送付・紛失、内部不正など多様なリスクに対して備えることができます。  対症療法的なセキュリティ対策ではなく予防と管理を行うため、長期的に見てセキュリティの被害やコストの抑制につながるメリットがあります。  また、情報管理だけでなく、業務そのものの効率化・安定化にもつながります。

ISO27001の取得手順

ISO27001の取得手順

ISO27001の取得には大きく10ステップあり、さらに取得後の対応も求められます。それぞれのステップを説明します。

①ギャップ分析

まず「現状の情報セキュリティ管理体制・運用」と「ISO27001 が要求する内容(規格要求事項)」とのギャップを洗い出します。情報資産の管理状況、既存の規程や手順、アクセス管理、ログ管理、教育状況などをリストアップし、どこが不足しているかを明確にします。

②スコープ設定(適用範囲の決定)

どの部署・業務・拠点・情報資産をISO27001の管理対象とするか(スコープ)を決めます。全社はもちろん、一部部署だけや特定のサービスだけをスコープとすることも可能です。

③リスクアセスメント

リスクアセスメントはISO27001の運用の根幹となる工程です。顧客データ、個人情報、ソースコード、設計情報などの、設定したスコープの中で扱う情報資産を洗い出します。それぞれの情報資産に対して不正アクセス、漏えい、誤送付、災害などの「脅威」 と人的ミス、システムの弱さ、物理管理の不備などの「脆弱性」を分析し 、「発生可能性×影響度」でリスクを評価します。そして、優先度の高いものから管理策を決定します。

④規程・手順書の整備

審査通過をする上で最も重要なポイントです。リスクアセスメントで洗い出した必要な管理策を実装するために、情報セキュリティ方針、情報資産管理規程、アクセス制御手順、ログ管理規定、委託先管理手順、インシデント対応手順、教育手順などを整備します。これらを書面化し、体制と責任を明確にします。

⑤記録(ログ)を取る仕組み作り

運用の証拠(エビデンス)を残せるよう、アクセスログ、操作ログ、インシデント記録、バックアップログ、監査記録などを取得・保管する仕組みを整備します。運用が「やっているだけ」にならず、「成果を上げられるように実施されている」ことを証明するために必要です。これにより、審査時はもとより将来の内部監査・外部審査に対応できます。

⑥運用開始

上記が整ったら、実際に運用を開始します。

⑦内部監査

組織自身で定期的に「規程・手順が守られているか」「運用が正しく実施されているか」をチェックします。頻度は定められていませんが、年一回以上が目安です。外部審査に向けた取り組みというだけでなく、自社で情報セキュリティ管理体制・運用を見直し、PDCAサイクルを回すのに役立てます。

⑧マネジメントレビュー

経営層や管理責任者が、運用状況、内部監査の結果、インシデント、改善事項、環境変化などを総合的にレビューする会議を行い、必要に応じて体制改善・方針見直しを行います。

⑨第一次審査(書類審査)

認証機関に申請書、適用宣言書(SoA)、規程類、記録などの書類を提出し、ISO27001規格への適合性の審査を受けます。

⑩第二次審査(現地審査)

書類審査を通過したら、認証機関の審査員が現地を訪問し、実際に運用がなされているか、手順・記録・アクセス制御・ログ管理などが実態と合っているかを確認します。適合性が認められれば、登録証が発行されます。

認証取得後の運用(サーベイランス審査・更新審査)

取得後は、年1回のサーベイランス審査(審査機関による定期チェック)があり、3年目には更新審査があります。以後3年単位で更新審査を繰り返します。

ISO27001取得にかかる費用相場

ISO27001取得にかかる費用相場

ISO27001の取得には、認証機関に支払う審査費用、必要に応じて外部コンサルティング会社に依頼する費用、社内で発生する内部コストの大きく3つのコストが発生します。

それぞれの考え方と一般的な目安について説明します。

認証機関へ支払う費用

ISO27001の審査費用は、組織規模(従業員数)、審査範囲(対象部署・拠点)、審査に必要な工数によって変動します。企業規模・認証機関にもよるので一概には言えませんが、中小企業(100名規模まで)の場合、初回の審査費用として数十万円〜100万円台前半を見込む企業が多いのが一般的です。

また、認証を取得後にもサーベイランス審査、3年ごとの更新審査が必要で、年間で数十万円程度の維持費用が発生します。

コンサル費用の相場

ISO27001は、社内のみで整備を進めることも可能ですが、短期間での取得や業務負荷の軽減を目的に、外部コンサルティングを利用する企業も少なくありません。

「どこまでをコンサルの範囲とするか」によって価格帯は変わります。

例えばギャップ分析のみ、文書作成支援、運用ルールの構築、社内教育、内部監査の代行など。一般的な目安としては、数十万円〜数百万円のレンジといえます。支援内容を明確にした上で複数社から見積りを取る企業が多いです。

内部的なコスト

外部に支払う費用以外にも、実際の準備・運用にかかる社内リソース(内部コスト)が発生します。社内の人件費、文書整備のための工数、教育・社員研修、運用体制構築に伴う時間、ツールやシステムの導入コスト、内部監査など。これらの工数は企業規模や既存の運用レベルによって差がありますが、ISO27001取得の“見えにくいコスト”として認識しておきましょう。

ISO27001の取得費用は、組織規模や求める支援レベルによって大きく変動します。そのため、認証機関とコンサルの両方から複数見積りを取り、費用と支援範囲のバランスを見ながら検討することがポイントです。

ISO27001取得における注意点

ISO27001取得における注意点

ISO27001の取得や継続的な運用にあたっては大きな負荷がかかることを認識しておきましょう。取得だけを目指すのでなく、適切な体制構築を同時に進める必要があります。ISO27001取得においてどのような注意点があるのか詳しく説明します。

取得コストと運用コストが発生する

認証取得のための審査費用、コンサル支援費用、準備のための人件費や内部リソースコストが発生するため、コスト面と人的リソース面で経営を圧迫します。また、通常業務と並行して行うため、担当者や関係部署への負荷が大きくなります。さらに認証取得後も、継続的な運用が求められ、外部に支払うコストや社内での管理改善コストが継続的に発生します。理解度が浅いと「コストの割にメリットが見えづらい」と不満が出て、運用が適切にされなくなるリスクもあります。

社内負荷が大きい

新しい規程・手順書を整備し、従業員教育を行う必要があるため、取得準備段階や運用開始時には業務負荷が一時的に高まります。特に、セキュリティに慣れていない組織では、手順書の理解・遵守・運用が浸透するまで相当の時間がかかることを認識しておきましょう。また、導入後も定期的な内部監査、マネジメントレビュー、教育の見直しなど継続運用を行わなければいけないため、各現場に専任担当者を置く必要があります。

せっかく取得しても意味が薄くなり、最悪失効することも

審査時に書類を整備しただけで満足してしまい、実際の運用を怠るケースもあります。例えば実際の運用・記録がなかったり、内部監査を定期的に実施しておらず改善がない、従業員に対する情報セキュリティ教育が継続されていない、情報漏洩やインシデントが発生しても、適切に記録・対応・改善していないなどです。

これでは情報資産が適切に守られないため、実質意味のない取得になると同時に、定期監査を通過できず、最悪の場合失効となってしまいます。

また、コストやリソースを節約するために、スコープ設定やリスクアセスメントの段階で部署や事業、さらに評価項目を除外しすぎると、実質的なセキュリティ保証が弱くなってしまうので注意しましょう。

ISO27001取得は企業価値を高める投資

ISO27001取得は企業価値を高める投資

ISO27001は組織の情報資産を管理運用する体制であるISMSが適切である旨を保証する認証です。こちらを取得した上でISMSを運用することで、セキュリティが安全になることに加え、公的機関や企業からも信頼され安心して情報を任せられる、取引できる企業として、事業の発展にも良い影響があります。ISO27001をこれからの時代に必要なセキュリティ基盤と捉え、積極的に取得を検討しましょう。

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