人口減少はチャンスに変えられる 地域を強くする『稼ぐ力』【木下斉氏インタビュー】

人口減少はチャンスに変えられる 地域を強くする『稼ぐ力』

日本の人口は減少局面に入り、「縮小社会」への適応を余儀なくされている。これまでの常識は通用せず、地域にとっては新しい稼ぎ方を見つけ出せるかどうかが試される時代に入った。課題は「人が減ること」そのものではなく、「どう稼ぎ、どう暮らすか」という発想の転換にあると話すのは、まちづくりの専門家・木下斉氏だ。地域再生を数多く手がけてきた木下氏に、地域が生き残るためのヒントを聞いた。

木下斉(きのした・ひとし)
一般社団法人エリア・イノベーション・アライアンス代表理事/内閣府地域活性化伝道師

1982年東京生まれ。高校在学時からまちづくり事業に取り組み、00年に全国商店街による共同出資会社を設立、同年「IT革命」で新語流行語大賞を受賞。早稲田大学政治経済学部政治学科卒業、一橋大学大学院商学研究科修士課程修了。09年、全国各地の事業型まちづくり組織の連携と政策提言を行うために一般社団法人エリア・イノベーション・アライアンスを設立。『まちづくり幻想』『稼ぐまちが地方を変える』『凡人のための地域再生入門』『地方創生大全』等、著書多数。

「人がいないから何もできない」は大きな間違い

「人がいないから何もできない」は大きな間違い

――現在、日本は人口減少や高齢化などにより、地域の持続性という課題に直面しています。木下さんはこの現状をどう見ていますか。

明治以降の日本は「人口爆発」こそが最大の課題でした。戦後の産業団地政策も、人々の働き口をどう確保するか、という発想で進められてきたのです。住宅が足りなければ建て、工場が必要なら誘致する。そうした「人口増加を前提にした社会対策」を日本はずっと打ちつづけてきたわけです。

ところが、今は逆に人口が減っている。これは特別なことではありません。世界のどの国にも「増える時代」と「減る時代」の両方があります。問題は「減っているからダメだ」ではなく、どう対応するかに尽きます。ヨーロッパを見れば、人口数千人の小さな村でもワインやチーズ、オリーブオイルのような付加価値の高い世界市場に出ていく農業加工品、シェアは低くとも付加価値が高い工業製品で豊かに暮らしている地域が多数あります。やり方を変えれば、小規模でも高所得を実現できる地域はいくらでもある。要は人口規模ではなく、「どんな稼ぎ方を選ぶか」なんです。

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