交通結節点としての優位性、水資源、そして暮らしやすさ。もともと産業立地に恵まれた佐賀県鳥栖市で今、東急不動産が推進する「GREEN CROSS PARK(GXP)」が官民連携のもと、「サザン鳥栖クロスパーク」として動き出している。再生可能エネルギー100%の活用や地域貢献施設、若者の定住促進まで見据えたこの構想は、単なる工業団地造成ではなく、新しい時代の産業まちづくりだ。鳥栖という地域の強みと、このプロジェクトに込められた革新性について聞いた。
| 北村 志帆(きたむら・しほ) 佐賀県 産業労働部 企業立地推進監 |
| 古沢 修(ふるさわ・おさむ) 鳥栖市 経済部 商工観光課 次長兼課長 |
立地条件に優れた産業都市・鳥栖の環境

——鳥栖市はその昔から工業団地の多い都市として知られていますが、その理由はどこにあるのでしょうか。
古沢:やはり大きいのは、交通結節点としての優位性です。鳥栖市は九州の高速道路網と鉄道網が交差する場所にあり、福岡都市圏にも近い。物流面でも人の移動という面でも利便性が高く、昔から企業立地に適した環境を備えていました。加えて、製造業にとって重要な水資源にも恵まれています。鳥栖市周辺は筑後川水系の豊かな水を活用できる環境があり、工業用水の面でも強みがあります。
北村:そうですね、さらに、地震など大規模災害のリスクが比較的低いことも強みだと思います。近年はBCP※1 対策に力を入れる企業からの引き合いも増えています。
※1 BCP(Business Continuity Plan):自然災害、火災、テロ、感染症の流行など緊急事態において、損害を最小限に抑え、中核となる事業を継続・早期復旧させるための計画。人命の安全確保を最優先しつつ、顧客・取引先への影響を減らし、社会的信用を守るために策定される。

——この立地条件は、暮らしやすさにも直結しそうですね。
古沢:実は、鳥栖市は地方都市の中では比較的人口が安定していて、多くの地方で人口減少が叫ばれる中、微増傾向にあります。福岡都市圏へのアクセスが良い一方で、少し足を延ばせば自然も豊かで、子育てしやすい環境があるのが魅力の一つです。働く場所としての利便性だけでなく、暮らしの場としてのバランスが取れていることも、鳥栖の大きな魅力だと思っています。
脱炭素、地域と連携する新たな産業まちづくり

——今回「サザン鳥栖クロスパーク」の提案には、どこに新しさを感じましたか。
古沢:多くのポイントがありますが、何より再生可能エネルギー100%といったGXの要素です。佐賀県、鳥栖市が掲げる脱炭素戦略とも合致しました。
また、今回の提案では、地域貢献施設の整備や、排水のための調整池をスポーツ振興施設として活用すること、災害時には物流施設を避難場所として開放することなど、従来の産業団地にはなかった提案がいくつも含まれていました。単に企業が立地する場所ではなく、周辺の地域とも関わりながら価値を生み出していく拠点として考えられているところに、大きな新しさを感じています。
——東急不動産ではGXPを「産業まちづくり事業」と位置づけていますが、まさにそうした発想が提案されたということですね。
古沢:はい。これまでの工業団地は、工場や倉庫が並び、働く人が通う場所という少し閉ざされたイメージが強かったと思います。しかし、今回の提案では地域貢献施設やスポーツ振興施設のような要素まで視野に入っています。もちろん今後の具体化はこれからですが、産業だけではなく、地域の暮らしや交流にも関わる新しい拠点の姿が示されていると感じています。
※本記事でご紹介している内容は、GREEN CROSS PARKにおける構想や検討中の取り組みを含みます。具体的な開発内容や導入要素は、各プロジェクトの条件や進捗状況により異なります。
若者の定住促進、人材確保支援をさらに推進

——こうした新しい産業まちづくりは、若い世代の定住促進という意味でも期待が大きいのではないでしょうか。
古沢:今回のプロジェクトは、公募の時点で、定住促進をコンセプトの一つとしており、若い世代が地域に残り、働き、暮らしていける環境づくりに重点を置いています。高付加価値の企業や先端分野の企業が立地すれば、若者にとって魅力ある就業先が増えることになりますし、そこに地域貢献施設などの機能も加わってくれば、働く場と暮らす場がより近い形で整っていく可能性があります。そういう意味で、若者の定住促進をさらに後押しする拠点になってほしいと思っています。
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