なぜ今、“金ケ崎”なのか──物流ネットワークと再エネで既成概念を覆す

なぜ今、“金ケ崎”なのか──物流ネットワークと再エネで既成概念を覆す

製造業の国内回帰やサプライチェーンの再構築が進むなか、企業の生産拠点戦略は大きな転換点を迎えている。岩手県金ケ崎町で進むのは、脱炭素・レジリエンス・持続可能性をテーマとした「岩手中部工業団地南エリア開発事業(岩手県金ケ崎プロジェクト)」だ。今回、プロジェクトを担当する吉岡紳太郎氏に、構想の背景と設計思想について伺った。

吉岡 紳太郎
東急不動産株式会社 産業共創事業ユニット インダストリー事業本部 事業開発部産業まちづくりグループ(物流・産業団地) 
2019年、電力会社へ新卒入社。送変電設備用地の取得、自社所有不動産の活用業務等に従事。2024年10月、東急不動産へキャリア入社。以降、産業まちづくり事業に従事。

既存の巨大工業団地に隣接

既存の巨大工業団地に隣接

——まず、このプロジェクトの概要について教えてください。

本プロジェクトは、岩手県最大規模の工業団地「岩手中部工業団地」に隣接する南エリアの、およそ45haの土地を対象にした産業まちづくり事業です。

金ケ崎町が、企業の進出や工場移転ニーズに応えられる大規模用地の不足という課題を打破するため、2024年に官民連携による立地開発提案を公募しました。

当社がこれに手を挙げたところ優先交渉権者に選定いただき、2025年6月に協定締結に至りました。

既存の工業団地には、大手自動車メーカーなど多くの工場が集積しております。こうした企業の工場移転・拡張先、また関連サプライヤー企業の立地を見込みながら事業を進めています。

現在、測量や地権者様への対応等を開始しており、2030年度頃のまちびらきを目標に事業を推進していく予定です。

産業団地を「点」から「ネットワーク」

産業団地を「点」から「ネットワーク」へ

——どのような観点から、金ケ崎町の公募に手を挙げられたのですか。

産業団地の立地選定における判断基準として、高速道路のインターチェンジへのアクセス性と分譲予定地として工場の立地需要が見込める地域かどうかという2点があります。

東急不動産のインダストリー事業部門は、もともと物流施設単体の開発をメインに事業展開してきました。こうした歴史があるため、基本的には、当社が手掛ける産業団地事業は物流を軸に据えつつ他アセットを組み合わせた産業団地構想を掲げ、事業の展開を図っています。

今回のプロジェクトは既存の工業団地に隣接している点で工場立地ポテンシャルは申し分ないと考えています。また併せて、東北自動車道 水沢インターチェンジや北上金ヶ崎インターチェンジからもほど近い立地感である点も本事業地の魅力です。

——東急不動産として、産業まちづくり事業はどのような戦略で進めているのでしょうか。

現在、全国で複数の産業まちづくりプロジェクトを進めており、北は岩手県金ケ崎町、南は佐賀県鳥栖市といった広域で事業を推進しています。

なぜ、全国で事業を展開しているかというと、将来的な絵姿として、当社の産業団地を基軸とした物流網の自動ネットワーク化を進める計画があるからです。

日本の産業構造を考えると、物流の高度化は今後ますます重要になります。その基盤となる産業団地を、広域的に整備していくことが日本の産業発展にとって必要だと考えています。

GREEN CROSS PARK 各プロジェクトについて

再生可能エネルギー100%を一気通貫で実現

再生可能エネルギー100%を一気通貫で実現

——このプロジェクトでは、脱炭素も大きなテーマになっています。

はい、このプロジェクトに限らず、「GREEN CROSS PARK(GXP)」の基本思想は、脱炭素・レジリエンス※1 ・持続可能性という三つのキーワードを掲げています。

※1 レジリエンス:災害、パンデミック、経済危機などの予期せぬ困難に直面した際、事業の停滞を最小限に抑えて迅速に回復・適応し、持続的な成長を目指す「組織のしなやかな強さ(回復力・復元力)」を指す。

当社独自の強みとして、自社で再生可能エネルギー事業を展開している点があります。そのため、当社が手掛ける産業団地においては、再生可能エネルギー100%電力供給が可能な仕様とする計画です。再エネの電源開発から電力供給までを一気通貫に提供できる体制は、デベロッパーとしては珍しく、当社が手掛ける団地での強みであると思います。

東急不動産の再生可能エネルギー事業「リエネ」

——再生可能エネルギー100%という条件は、企業にとってどのような意味を持つのでしょうか。

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