オンサイトPPAとは、初期費用をかけずに自家消費型太陽光発電設備を導入できる仕組みです。発電事業者が利用者(企業や施設)の敷地や屋上に設備を設置し、そこで発電された電力を購入する仕組みのため、導入時に大きな負担がかからず、電気代の削減やCO2排出量の削減に貢献できます。
ただし、オンサイトPPAにはデメリットや注意点もあるため、企業によっては導入が難しい場合があります。また、自家消費型太陽光発電設備を導入するには、自社保有やリース、オフサイトPPAという選択肢もあるため、それぞれのメリットや違いを理解しておくことも大切です。
今回は、オンサイトPPAのメリットや注意点、他の導入方法との違いについて解説します。
オンサイトPPAとは?

オンサイトPPA(Power Purchase Agreement)とは、初期費用をかけずに自家消費型太陽光発電設備を導入できる電力購入契約の仕組みです。自社の敷地や屋根に発電事業者が太陽光発電設備を設置し、そこで発電された電気を自社が購入します。太陽光発電設備の設置や所有、維持は発電事業者が行うため、自社は初期投資をほとんど行わずに自家消費型太陽光発電設備を導入できます。
オンサイトPPAのメリット

オンサイトPPAの主なメリットは以下の7つです。
- 初期費用や保守費用、手間がかからない
- CO2排出量の削減に貢献できる
- 電気料金を削減できる
- 非常時でも電気を利用できる
- 国際イニシアチブの報告に活用できる
- 環境に配慮した企業としてアピールできる
- 資産計上の必要がない
それぞれを解説します。
初期費用や保守費用、手間がかからない
オンサイトPPAの最大のメリットと言えるのが、初期費用や保守費用、手間がかからないことです。
自家消費型太陽光発電設備を自社で導入する場合、太陽光パネルなどの設置を自社で手配し、電力会社などに必要な手続きを行う必要があります。設置後も太陽光パネルのメンテナンスや周辺設備の保守に費用が長期間にわたってかかり続けます。
自家消費型太陽光発電設備を自社で保有すれば、余剰に発電された電力を売電できるというメリットもありますが、初期費用や保守費用、メンテナンスの手間暇を考慮すると、売電収入でさまざまな費用負担を相殺できない場合もあります。
一方、オンサイトPPAでは、自家消費型太陽光発電設備の設置や保守は発電事業者が自らの負担で行ってもらえます(ただし、地盤や屋根、電気設備の補強が必要な場合は一部費用が自社の負担となることがあります)。そのため、自社は自社の敷地や屋根で発電された再エネ由来の電気を割安で購入でき、初期費用や保守費用、メンテナンスの手間暇を大幅に削減できます。
CO2排出量の削減に貢献できる

2つ目のオンサイトPPAのメリットは、CO2排出量の削減に貢献できることです。
太陽光発電では、発電時に排出するCO2はほぼゼロとなります。オンサイトPPAを導入することで、再生可能エネルギーを活用でき、自社が排出するCO2の削減が可能です。
CO2の排出量削減は、世界的な取り組みとなっています。2015年に世界主要各国で締結されたパリ協定の目標達成を目指し、日本でも2050年までにカーボンニュートラル(温室効果ガスの排出量を実質的にゼロにすること)の達成がコミットされています。これを受け、国内で排出される温室効果ガスの多くを占める企業には、より一層の排出削減の努力が求められています。
参考:環境省『2050年カーボンニュートラルの実現に向けて』
オンサイトPPAによる自家消費型太陽光発電設備の導入を行えば、自社が電力調達によって間接的に排出するCO2を削減できます。これにより、日本のカーボンニュートラルの実現や地球温暖化防止に貢献することが可能です。
電気料金を削減できる
3つ目のオンサイトPPAのメリットは、電気料金を削減できることです。
オンサイトPPAで発電された電気には、燃料費調整額や送配電網の利用料金(託送料金)、再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)などが発生しません。そのため、一般的な電力の市場価格よりも割安で購入できます。
参考:環境省『PPAモデルによる政府施設への太陽光発電設備導入の手引き』
削減できる電気料金は、導入する自家消費型太陽光発電設備の規模や実際の発電量によって異なりますが、地政学リスクの高まりなどで上昇し続けるエネルギーコストを抑える有効な手段のひとつとしてオンサイトPPAは注目を集めています。
また、オンサイトPPAの電気料金は、契約時に設定された金額がずっと適用されます。オンサイトPPAの契約期間は15年~25年程度となるため、電気料金の削減効果が長く続くことも大きなメリットです。
非常時でも電気を利用できる

4つ目のオンサイトPPAのメリットは、非常時でも電気が使えることです。
オンサイトPPAでは、災害などで一般送電網に停電が発生した場合でも、自社の施設に電気を供給することが可能です(ただし、自律運転機能を備えている場合)。自社に設置された発電設備が正常に稼働し、太陽光が確保できれば、非常時でも最低限の電源を確保できます。
オンサイトPPAは、BCP(事業継続計画)対策においても非常に大きなメリットとなります。非常時でも電源が確保できることで、事業が完全に停止するリスクを低減できます。また、オンサイトPPAとともに蓄電池設備も導入すれば、より強固なBCP対策と効率的な再エネ活用を実現することも可能です。
国際イニシアチブの報告に活用できる
5つ目のオンサイトPPAのメリットは、国際イニシアチブの報告に活用できることです。
オンサイトPPAで発電した電力は、CO2をほとんど排出しない再生可能エネルギーであるため、気候変動対策を評価する国際的なイニシアチブ「RE100 ※1 」の報告に活用できます。また、CDP ※2 やSBT ※3 においては、Scope2(自社が間接的に排出する温室効果ガス)を削減する方法として有効です。
より先進的で国際的な温室効果ガスの削減対策に取り組みたい企業にとっても、オンサイトPPAの活用は大きなメリットとなります。
※1 RE100:事業活動で使用する電力を、全て再生可能エネルギー由来の電力で賄うことをコミットした企業が参加する国際的なイニシアチブ。
※2 CDP:投資家向けに企業の環境情報の提供を行うことを目的とした国際的なNGO。気候変動等に関わる事業リスクについて、企業がどのように対応しているか、質問書形式で調査し、評価したうえで公表するもの。
※3 SBT:パリ協定が求める水準と整合した、5年~15年先を目標として企業が設定する、温室効果ガス排出削減目標のこと。
環境に配慮した企業としてアピールできる

6つ目のオンサイトPPAのメリットは、環境に配慮した企業としてアピールできることです。
近年、SDGs(持続可能な開発目標)やESG投資(環境、社会、ガバナンスという非財務情報を評価した投資手法)などへの意識の高まりにより、消費者や投資家、取引先が持続可能性の高い事業を行う企業を評価する傾向にあります。
例えば、似たような製品やサービスを比較する際、地球環境に配慮したものの方が選ばれる可能性が高まっています。また、資金の融資先や投資先を検討する場合にも、企業の環境意識や持続可能性の高さが評価されるようになっています。SBTにコミットしている大企業のサプライチェーンでは、温室効果ガスの排出削減に取り組んでいることが参加条件となりつつあります。
このような背景から、CO2の排出を削減し、再生可能エネルギーの使用比率を高めるオンサイトPPAの活用は、消費者や投資家、取引先に対し、環境に配慮した企業として自社をアピールできる材料になります。RE100の報告にも活用できる対策であるため、透明性と信頼性の高いアピールができることもオンサイトPPAの大きなメリットです。
資産計上の必要がない
7つ目のオンサイトPPAのメリットは、資産計上の必要がないことです。
オンサイトPPAでは、太陽光発電設備を保有するのは発電事業者です。そのため、一般的には資産計上されず、バランスシートが大きく変化することがありません。資産管理や減価償却の手間も省けるため、財務面の管理コストも削減することができます。
仮にオンサイトPPAの発電設備が故障したとしても、その復旧や修理は発電事業者が行います。突発的に多額の修理費用が発生するリスクがなく、資金繰りに大きな影響を与える心配がないこともオンサイトPPAの大きなメリットです。
オンサイトPPAのデメリットや注意点

メリットが多いオンサイトPPAですが、デメリットや注意点も把握しておくことが大切です。主なデメリットや注意点は以下の5つです。
- 長期契約が必要
- 契約終了時の確認が必要
- 十分なスペースが必要
- 売電できない
- 自社保有よりも電力コストの削減効果が低い
それぞれを解説します。
長期契約が必要
1つ目のオンサイトPPAのデメリットや注意点は、長期契約が必要な点です。
一般的にオンサイトPPAの契約期間は、15~25年という長期間になります。そのため、自家消費型太陽光発電設備の設置を検討する場合は、敷地や建物の存続期間を確認しておくことが大切です。
例えば、発電設備を設置する敷地に新たな建物を建築する可能性や、建物を建て替える可能性、既存の敷地や建物をすべて売却する可能性などが考えられます。
オンサイトPPAの契約は基本的に中途解約ができません。契約を終了する場合は、発電設備の買い取りや、違約金の支払いが発生することが考えられます。また、設備を撤去する場合は、撤去費用や廃棄費用などのコストも発生することになるでしょう。
オンサイトPPAを契約する場合は、途中解約が発生しないように敷地や建物の存続期間を確認しておきましょう。
契約終了時の確認が必要

2つ目のオンサイトPPAのデメリットや注意点は、契約終了時の確認が必要な点です。
オンサイトPPAの契約が満了した場合、主に以下のパターンが想定できます。
- 発電設備が無償で提供されるケース
- 発電設備を有償で買い取るケース
- 発電設備が撤去されるケース
- 再契約が可能なケース
無償や有償で設備をそのまま引き継ぐケースは、所有権が自社に移転するため、自社が保有する自家消費型太陽光発電機として長く活用でき、発電した電気の利用料も無料になります。契約終了後、電気代の節約効果を最大限に発揮することができます。
ただし、発電設備の所有権が最終的に自社に移転する場合、発電設備の維持管理費用や修理費用、撤去費用、廃棄費用は自社が負担することになります。また、経年劣化による故障の頻発やリサイクル費用の高騰などが考えられるため注意が必要です。
一方、再契約を行う場合は、設備の所有者は引き続き発電事業者となり、自社は発電した電力を購入する形が続きます。
十分なスペースが必要
3つ目のオンサイトPPAのデメリットや注意点は、十分なスペースが必要な点です。
オンサイトPPAでは、発電事業者による事前の審査が必要となります。その際、太陽光発電設備の設置を予定するスペースが狭いと、発電事業者の審査に通らない可能性があります。十分なスペースが確保できないと、発電量が小さくなり、発電事業者の採算が取れないからです。
オンサイトPPAを提供する発電事業者によっては、数百平米~数千平米の広さが必要になる場合もあるため、発電事業者の契約条件や、自社の敷地・屋根の広さを確認しておきましょう。
また、地盤の弱さや建物の古さ、日当たりによっても、発電事業者の審査が通らない可能性があります。自社の財務状況や事業の継続性なども審査対象になります。
売電できない

4つ目のオンサイトPPAのデメリットや注意点は、売電できないことです。
オンサイトPPAで発電された電力は、発電事業者のものとなり、余剰電力の売却は発電事業者が行います。そのため、発電された電力を自社で売電することはできません。
自家消費型太陽光発電設備による売電収入を期待したい場合は、発電設備を自社で保有するか、リースで導入する必要があります。ただし、自社保有やリースの場合、オンサイトPPAよりも導入や運用にまつわるコストが高くなる可能性があります。
自社保有よりも電力コストの削減効果が低い
5つ目のオンサイトPPAのデメリットや注意点は、自社保有よりも電力コストの削減効果が低いことです。
自家消費型太陽光発電設備を自社で保有すれば、発電した電力は自社がほぼ無料で使い続けることができます。初期費用や保守費用、メンテナンスの手間などは発生するものの、長期的に電力コストを引き下げられるため、コスト削減効果は自社保有する方が有利に働く可能性が高いです。
一方、オンサイトPPAでは発電事業者に電気料金を支払い続ける必要があります。通常の電気料金よりは割安になるものの、無料で利用できるわけではないため、自社保有よりも電力コストの削減効果は低くなることでしょう。その反面、初期費用や保守費用、メンテナンスの手間は不要です。
オンサイトPPAとオフサイトPPA、自社保有、リースの違い

太陽光発電設備による再生可能エネルギーの導入には、主に以下の4つの方法があります。自社に合った活用方法をご検討ください。
| オンサイトPPA | 発電事業者が自社の敷地や屋根を活用して太陽光発電設備を設置し、そこで発電された再生可能エネルギーを自社が利用する方法。初期費用やメンテナンスが不要で、再エネを活用できる。ただし、15~25年程度の長期契約が必要。基本的に売電はできない。 |
| オフサイトPPA | 発電事業者が発電した再生可能エネルギーを、自社に送電する方法。発電された再エネを送電して実際に使うフィジカルPPAと、発電された再エネは実際に使わずに他のエネルギーと相殺するバーチャルPPAがある。自社に発電設備を置かないため早く導入できるが、オンサイトPPAよりも電気代は高くなる可能性あり。長期契約が必要で、売電はできない。 |
| 自社保有 | 自家消費型太陽光発電設備を自社で保有し、発電された再生可能エネルギーを自社で利用する方法。余剰電力は売電も可能で、長期的なコストパフォーマンスに優れている。ただし、初期費用やメンテナンスが必要。 |
| リース | 自家消費型太陽光発電設備をリースで導入し、そこで発電された再生可能エネルギーを自社で利用する方法。初期費用が抑えられ、資産計上の必要がない。売電できる場合も。ただし、長期契約が必要。リース料の支払いが続くため割高になる可能性も。 |
上記は一般的な情報を比較したものとなります。契約先によって細かい条件が異なる可能性がありますので、発電事業者の契約条件等を詳しくご確認ください。
参考:環境省『オフサイトコーポレートPPAについて』
参考:環境省『初期投資0での自家消費型太陽光発電設備の導入について~オンサイトPPAとリース~』
まとめ オンサイトPPAについて

今回は、初期費用不要で自家消費型太陽光発電設備を導入し、自社の敷地や屋根で発電された再生可能エネルギーを利用できるオンサイトPPAについて解説しました。オンサイトPPAは、カーボンニュートラル達成のための有効な手段の1つです。
本記事では、オンサイトPPAのメリットだけでなく、デメリットや注意点、オフサイトPPAや自社保有、リースとの違いについても解説しております。自社に最適なカーボンオフセットの方法でお悩みの企業の方は、本記事をぜひご活用ください。
GREEN CROSS PARKのGX

東急不動産の「GREEN CROSS PARK(グリーンクロスパーク)」は、企業活動と環境配慮を両立させる産業まちづくり事業です。再生可能エネルギーの活用やカーボンマネジメントにより、脱炭素社会への移行をエリア全体で実践し、未来志向の産業団地として進化を続けています。